うつと生きるブログ

うつを認めてより良くいきるためのブログ

治療は「自分ごと」-主治医との関係からお薬まで

こんにちは。

あまりにも曇り空が続いているため、日光が恋しいです。少しでも光のある場所にと思い、今日はパソコンをお庭のテラスに持ち出して書いています。雨にぬれた草のにおいと、小鳥の鳴き声が心地いいですね。

今日は体調があまりよくないのですが、もしかしたら10日ほど前に服用を始めたお薬が効いてきて脳の中で変化が起こっているからなのかなと思っています。

このお薬、24時間ごとに張り替える外用薬のテープ剤(!)で、作用が非常に穏やか・安定していることがウリなのだとか。ベースとしてのんでいる抗うつ薬の効きはいいのですが、ここ最近出ていた焦燥感・不安感をすこし抑えるために出してもらいました。

基本的に新しいお薬の服用にはかなり慎重な私ですが、今回は試すことに。ここ1週間ほど非常に体調が安定していたので、薬効が合っているのかな。。。とおもっていた矢先の体調不良。時間差で副作用などが出ることもあるでしょうから、すこし様子を見ようかなと思います。

そこで、今日はうつ病持ちが苦労する、お薬についてすこし書きます。

うつ病の薬は恐い?

世間一般で多い認識がうつ病の薬は得体が知れない、依存性があってやめられなくなる、のまないほうがいい、というような否定的な意見。そもそもうつ病という病気についての誤った認識があるからだと思うのですが、実際に服薬している患者さんもそんな思いを抱いて服薬している人が少なくないと思います。

本当にうつ病の薬はこわいのでしょうか?

前回記事でうつ病脳科学的なメカニズムを紹介しましたが、これを根底に考えると、うつ病の薬は脳の機能回復のためにのむもの、という位置づけが基本になるかと思います。よって、ベースになるのが、「抗うつ薬」です。機能不全に陥った脳では、神経伝達物質神経細胞の網は体中に張り巡らされていますが、これらの間で情報=化学物質がうまく伝達されることで人間の身体は正常に働きます)の働きに問題があるとされ、これらが元通りうまいこと情報を運んでくれるようにするためにのむんですね。

物流を比較に考えるとわかりやすいかもしれませんが、品物(化学物質)がうまく運ばれるには、それらを運ぶためのツールである人やトラック(神経細胞)が必要だし、流通のシステム(脳)がうまいこと機能する必要がありますよね。流れをスムーズに、円滑にできたら運ばれる品物が増える、活動が活発になる。このスムーズな流れを取り戻すために抗うつ薬での治療は必須となります。

ただ、抗うつ薬は効果を発揮するのにタイムラグがある(流通のシステム改善は一日や2日でできるもんではありません)ことや、うつ病には様々な不快な身体症状が伴うことから、たいていの場合抗うつ薬と合わせてこうした不快な症状を和らげるお薬を、患者さんの症状に合わせて処方することになります。

眠りに問題がある人には睡眠導入剤睡眠薬、不安感・焦燥感といった厄介な感情が暴走してしまっている場合には抗不安薬、などが一般的で、これらに一定の依存性があるのは事実です。脳は身体の司令塔、最も大事な人間の臓器ですから、不安定に働き方を変えては生命の維持に支障が出ます。なれた環境、働き方をできるだけ維持しようとするのです。そのため、一定期間受容してきた化学物質が供給されなくなると、その急な変化に順応できず、離脱症状が出るわけです。離脱症状脳科学的な理由がありますが、とてもつらいので、この点がこうしたお薬を服用することへの恐怖感につながるんだと思います。

薬に翻弄される人の根本的な問題

私も今までいろいろな薬をのんできました。うつ病歴は10年になるので、再燃するたび、そのときの状態や症状にあったお薬を選んでのんできました。

10年の経験からわかるのは、お薬選びにおける自分(患者)の主体性があるとないとでは、治療のプロセスは大きく変わる、ということです。

ヤフー知恵袋やその他の質問サイトで自分の飲んでいる薬を羅列して、それらを飲み続けるべきかを聞く人がいます。不安な気持ちはわかりますが、どうしてそれを質問する場としてネットを選び、主治医に聞かないのでしょうか?

主治医が適当に相槌を打って何も説明しないまま薬を処方して診察が終わる、という不満を書く人も多いです。

ここで聞きたいのは一つ。

あなたは主治医を信頼していますか?信頼していないのならなぜ主治医を変えないのですか?

信頼できない上司や信頼できない友人といった人間関係を考えるとわかると思いますが、こうした人たちのアドバイスって信用できないですよね?こうした人たちに勧められたものには不信感を持ちますよね?そして自分の思いや不安を打ち明けることも難しかったりしますよね?

信頼できる主治医を見つけることは、治療する上で最も大事なくらい大事です。このことは、自分の治療経験から断定できます。

自分に合ったやり方で診察してくれる医者、自分が納得するまで説明してくれる医者、自分の不安と向き合ってくれる医者。医者も人間です。合う合わないがあって当然。

そして医者は専門家ではあっても、みんながみんな「優秀な専門家」ではないのです。

ホームページで治療方針を明確にしている病院や、できれば知人からの紹介など、あなたに合う可能性の高い専門家を探すのは治療の大切な第一歩です。

「自分ごと」として治療に参加しよう

治療を主治医任せにすると、なかなかあうお薬が見つからず、また併合する薬の種類が増えたりと、どんどん治療は複雑化していきます。

主治医はあなたが感じていること・思っていることはわからない。あなたの身体のことは知らない。

このことを忘れて治療している人が多いように見受けられます。

自分の身体のことは自分が一番良くわかります。どこが痛いのか、どこが不快なのか、一番恐いことは何か。こうしたことを主治医に積極的に伝えることで、主治医があなたに会った薬を選択する確立は上がるんです。

私はだいぶ前に飲んでた抗うつ薬の影響で17キロも体重が増えたことがありました。うつ病はそのとき劇的に回復しましたが、太った身体が残りました。

ダンスをする私は人前で身体を見せるので、太った身体が治療の結果として残ったことがショックでした。幸いお薬の副作用だったためお薬をやめたあとに適度な運動で元に戻りましたが、「太るという副作用」は私のなかでは絶対に避けたいものになったのです

それ以来、うつ病の急性期が2度ほどありましたが、私は上記の副作用ができるだけ出ない抗うつ薬を調べて、主治医にそれを処方することの是非を相談しました。主治医とは信頼関係もあり、私の不安をよく知ってもらっているので、私の調べたお薬(!)で治療してみることになりました。

結果、体重増加することなく、ちゃんと効果のある治療をすることができました。自分で自分向けに処方したようなものですね(笑)

主治医と信頼関係があることが前提ですが、

  • 主治医が処方しようとしている薬の目的や役割を確認すること、
  • 自分がもっとも不安に思う副作用を把握し主治医に伝えること(副作用のストレスを少しでも抑えられたほうが結果的にいい治療ができる)、
  • 服薬中は体調の変化や副作用をモニタリングし、ちゃんと主治医に伝えること(あらかじめ、副作用が出た場合にはすこし減薬したり日をおいてのんだりしてもいいかを診察中に確認するのもいい)

ちゃんと、「自分ごと」として治療に参加すれば、お薬はそんなに恐くない、ということを、うつ病もちの方にはお伝えしたいですね。