STAY HOMEとうつ病
こんにちは。
緊急事態宣言延長が目前ですが、コロナにより生活の変化、具体的には人との接触の減少と外出自粛が続いていることでうつ病もちの自分にはどんな変化が起きてるんだろう。今日はそれを書きとどめておこうと思います。
絶望か希望か?
過去10年間、うつの行ったり来たりを繰り返して、かれこれ4回目の再燃が今年の2月にあったため、ほぼ間をおかずして自宅勤務に切り替えました。会社ではコロナの動向に早くから着目して、(外資で他の国のオフィスの対応を見ていたせいもあるかもですが)3月より全社員自宅待機推奨が始まったので、私のうつ病による在宅勤務は、より大きな動きの中にのまれ、あまり同僚や上司に目に見えるインパクトが出ないこととなりました。
そして思うのが、現在のコロナ渦が私のうつ病に及ぼした影響はどうだろうということ。絶望感や不安感が深まったか、それとも心が軽く前向きになったか。圧倒的に私はプラスのいい影響が多いと感じています。(あくまでも、独り身の、収入のある立場として言える前提ですが)
具体的には、
- 外出せず人にも極力会わないという、普段であれば「負」と捉えられる行動が、「善」として社会的に認識される状態にあること、
- 生活基盤が脅かされる緊急事態なので、衣食住を継続する以上の営み(旅行、習い事、食事会、趣味など)をする社会的なプレッシャーがない状態であること
- 生活から移動や人と会うための準備時間がへり、心置きなく使える100%自分のための時間が増えたこと
以上が主な理由かなと考えています。
今までの当たり前の人間の活動形態が今は自粛を求められているために、皮肉なことに、それらの行動によって多大なるエネルギーの消耗を経験するうつ病持ちの人には、ある種の生きやすいムードができている、と感じるわけです。
緊急事態宣言発令後の活動記録
以下、緊急事態宣言発令した4/7から4/30までの自身の活動記録です。
- 外食回数 1回
- 電車に乗った回数 0回
- 車で出かけた回数 3回
- 受けたオンラインレッスン(ピラティス、ヨガ、ベリーダンス)計20コマ、時間にして10時間くらい
- 歩いた距離45キロメートル(活動的だった今年1月は1週間ちょいでこの距離をあるいていたんですが)
- 在宅勤務時間数 100時間
毎日乗っていた電車に一回も乗っていない!毎日ランチは外食だったのに、1ヶ月間で1回しか外で食べてない!大好きなピラティスとダンスのレッスン、普段スタジオ通いのときであれば1ヶ月で10時間くらいしか受けれないのに、倍の時間受けてる!!
当然、お金を使う回数と機会も減っているので、貯金が増えている。
仕事時間とかオンラインレッスンとか散歩の距離とか、案外活動的じゃないか。
心配していた体重増加も起きていない。
肌がきれいになっている。
つめがつやつやして割れにくくなっている。
…
こう見ると、環境と自分の体調管理次第では、このSTAY HOME時期をかなりプラスの方向で過ごしていくことができるんじゃないかと思うわけであります。
うつ病治療中のSTAY HOMEは「棚からぼたもち」的存在
2月の再燃期には、不眠症と焦燥感の増大で体調が明らかに悪化していました。1月に4年ぶりの海外旅行をし、自分では元気だとおもっていた矢先だったので、再燃は正直ショックでした。
眠っても2時間で目が覚める、朝には身体が重い、突然悲観的で絶望的な気持ちになり泣き出す。。つらい症状は何回味わってもつらい。
でも決断だけは早くなりました。上司に状況を伝え、主治医の診察を受け、すぐさま実家避難。とにかく早く逃げること、早く落ち着く環境に身をおいて、だらけられるようにすること。自分の一番見たくない姿を知っている相手にそばにいてもらうこと。再燃期はこれができればあとはどん底からあがっていくだけ、と思っています。
そして、少しずつ抗うつ薬を増やしながら、睡眠薬・不安薬を頓服しながら、家のご飯を食べながら、好きなだけ泣いて、言葉にならない言葉をしゃべったり書いたりしながらうつの再燃と向き合っているうちに、コロナにより自粛拡大からの緊急事態宣言発令の流れとなったのです。
急に、
家にいることが「善」となりました。
他人と接しないことが「正しい」こととなりました。
家で仕事をすることが「歓迎」されるようになりました。
身なりをしっかり整えて、電車で通勤しなくていい環境がそこに現れました。
うつ病の私にとってこれ以上はない、むしろいままでなんとか自分で勝ち取ってきたものを、目の前に差し出された感じでした。
娯楽がないことや、大好きな植物を見にいろんな場所へいけないのは残念だけど、やっぱり(誤解を恐れず言うと)嬉しい。
社会は止まるけど、自分も「止まっている」のだから、どうってことはない。焦りも不安もなくなっていく。
変な言い方にはなりますが、人間の生活の根底を覆すほどの大きな混乱のおかげで、個人レベルの混乱はいい意味でひっそりと、その恩恵にあやかっているのです。
混乱が収束したら。。。?
とはいえ、今の状態がずっと続くことはありませんよね。社会と生活がはやくもとのレールに乗ることを目指して、今日本全体が、世界が、戦っているわけですから。
あくまでもうつ病である私の立場からですが、この混乱がうつ病持ちにとって少なからず救いとなっている面もあると思います。そんな風に感じているうつ病持ちは私だけじゃないと思います。と、いうことは、混乱が収束したら、今のSTAY HOMEのプラス面をなんらかの形で残した上で、社会のリフォームを1段階進めて、平穏な日常に戻れるようにしないと、うつ病持ちは少しあやかることのできた「恩恵」を失い、再びもとの生きづらい世界に戻らなければいけないことになります。
- たとえば在宅勤務が当たり前に働き方のオプションとしてあること。
- 例えば、家で家族と、自分と向き合う時間を大事にすることが、もっとたくさんの人に「価値」として認識されること。
- 例えば、つながることや人と過ごすことに必要以上の(見えない)ルールやしがらみを持ち込まないこと。
うつ病持ちがより生きやすくなるように。みんながより生きやすくなるように。
今日はなかなか長くなってしまいました。
上記はうつ病持ちの一人としての私個人の考えですので、他のうつ病患者の方やコロナのせいで大変な思いをされている方を不快にさせる意図は毛頭ありません。ご容赦を。